株価に与えた影響も大きく、驚いた方も多いのではないでしょうか。カルロス・ゴーン氏は金融商品取引法違反容疑で逮捕されることとなりましたが、この金融商品取引法とはどのような法律なのでしょうか?今回は投資顧問業や株取引とも関わりの深い、金融商品取引法についてざっくりと解説します。
カルロス・ゴーン氏は何をしてしまったのか?
金融商品取引法の前に、カルロス・ゴーン氏が何をしたことで逮捕されたのか、おさらいしてみましょう。
ご存知の方も多いかもしれませんが、カルロス・ゴーン氏は有価証券報告書で自分の収入を実際の金額よりも少なく報告をしていたということで、金融商品取引法違反で逮捕されました。
どのくらい少なく報告していたかというと、平成23年~平成27年の間で約50億円も少なかったそうです。
では次に、カルロス・ゴーン氏が虚偽の報告をしたという【有価証券報告書】がどのようなものなのか見てみましょう。
有価証券報告書とは何か?
有価証券報告書とは、企業の事業内容、役員、経理・営業状況などが記載されている報告書のことです。
株式等の有価証券を発行している企業は事業年度終了後3ヶ月以内に提出することが義務になっています。
この有価証券報告書の提出を定めているのが金融商品取引法という法律なので、カルロス・ゴーン氏は【金融商品取引法違反】という罪になっているわけです。
金融商品取引法の目的とは何か?
金融商品取引法(以下金商法)は株式などの金融商品の発行・売買に関するルールを定めたもので、目的は主に下記の通りです。
- 企業内容等の開示の制度を整備する。
- 金融商品取引業を行う際に必要なルールを定める。
- 株式等の有価証券や金融商品等の取引等を公正にし、流通を円滑にする。
- 金融商品などの公正な価格形成。
- 上記をもって国民経済の健全な発展、及び投資者の保護。
これらが目的であるため、金商法では投資家を保護する為のルールや企業の営業・経理内容の開示、取引所の自主規制機能に関するものから、インサイダー取引への対応等も含まれています。
投資顧問会社を含めた金融商品取引業者に関するルールも定められており、当サイトでも以前紹介した投資顧問業を行う為に必要な【金商登録】に関してもここで定められています。
先程紹介した有価証券報告書も、投資家が投資を行う際に判断基準にできるように提出・開示を求めているものです。
金商法で定められている投資顧問業者に関するルールとは?
投資顧問業者に関して金商法ではどのようなルールが設けられているでしょうか。
投資顧問業者と取引をするうえで知っておいて損はないので、利用者が関わる金商法について見ておきましょう。
代表なものは下記の通りです。
- 投資顧問業者は内閣総理大臣の登録を受けて行う。(=金商登録)
- 顧客を勧誘する際に、損失の全部、または一部を補てんする約束をしてはいけない。
- 顧客を勧誘する際に、「確実に儲かる」などの断定的なことを言ってはいけない。
- 顧客の取引を利用して、自分や第三者の利益を得るための助言をしてはいけない。
- 自社が発行する有価証券を顧客の資産に組み入れてはいけない。
投資顧問業者が推奨した銘柄で損失がでた場合に損失を補てんできないのは、金商法で定められているためです。
また、有料プランなどの勧誘の際に、「確実に儲かる」「絶対に値上がりする」という断定的な表現を使った場合は、金商法違反となります。
断定的な言葉で勧誘する業者は金商法に違反しているといえるため、利用しない方が安全でしょう。
金商法は金融商品の健全な取引・流通の為の法律
金商法とは金融商品の取引や金融商品取引業者に関する法律なので、カルロス・ゴーン氏の行った不正とは関係ないものに見えるかもしれません。
ですが、投資家が判断材料にしている報告書で虚偽の報告をした、ということを知れば、カルロス・ゴーン氏が金商法に違反したということにも納得できると思います。
また、投資顧問業に関しても非常に様々なルールが儲けられており、投資顧問業者が利用者に不当な行為ができないよう定められています。
普段は関わることの少ない金商法ですが、投資家を守っている大切な法律なのです。
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